『New Jazz Conceptions』Bill Evans

『ニュー・ジャズ・コンセプションズ』ビル・エヴァンス


『New Jazz Conceptions』Bill Evans

収録曲

1.I Love You
2.Five
3.I Got It Bad And That Ain’t Good
4.Conception
5.Easy Living
6.Displacement
7.Speak Low
8.Waltz for Debby
9.Our Delight
10.My Romance
11.No Cover, No Minimum

Bill Evans (p)
Teddy Kotick (b)
Paul Motian (ds)

録音:1956年9月27日(3,8,10は9月18日)
レーベル:Riverside

ディスクガイド

Bill Evansにとって、初のリーダー作品
ピアノトリオ編成の曲の合間に、ちょこちょことソロピアノ演奏が入っている構成となっています。
ドラムはPaul Motianが叩いているものの、後の黄金トリオのようなインタープレイは感じられず、 わりとオーソドックスなハード・バップに聴こえます

とはいえ、Bill Evansファンにとってはかなり価値のある一枚だと思います。
まだ演奏スタイルが熟す前の彼はどんな演奏をしていたのか、しっかり知ることのできる作品です。
I Love You」「Speak Low」「Our Delight」のような元気溢れるアレンジの演奏は、60年代には少なめになります。

アルバム『Waltz for Debby』(1960)の頃には完成しきっている同名曲「Waltz for Debby」や 「My Romance」が、アドリブパートのないソロピアノの形で収録されています。
トリオ編成の時には発揮しきれていないように思える(録音の問題で聴き取りづらいのもあるけれど) 抜群のハーモナイズ能力が、そのソロ演奏では活きています。

テーマ部分が面白い「Speak Low」は、数年後『The 1960 Birdland Sessions』の時期にもほぼ同じアレンジで演奏しています。

しかし、ジャケットをあらためて良く見てみると、撮影場所、撮影方法ともによく分からない!屋内?屋外?(詳細情報求む。)

初心者にオススメできる?

ややオススメ、程度。
すごく有名なスタンダート曲は入っていないので、いわゆる「どこかで聴いたことのあるジャズ」が無アルバムです。
(一応、テーマ演奏のみの「Waltz for Debby」は入っていますが…)

そして、音質は悪くないのですが、少し荒めな音という印象。
そういう意味で、しっとりした雰囲気のジャズを聴きたい初心者にはちょっとおすすめできないかも。

最初の一枚なら、もっとふさわしい作品が他にあります。

Pick up!!

2.Five
Bill Evansオリジナル曲。テーマはかなり凝ったリズムになっています。
何度も聴かないと正しい譜割りを理解するのは難しいはず!
基本的にアウトフレーズが少なめのEvansですが、循環の曲では不思議と冒険する傾向があります。
次のリーダーアルバム『Everybody Digs Bill Evans』の「Oleo」も同様。

4.Conception
ピアノのルバートイントロからスタート。
このルバート感が、60年代以降とはちょっと違うスタイル。
Bud Powell風な感じもする。(間のとり方や、高速フレーズなどが)
ソロではかなり飛ばしています。

10.My Romance
60年に名演を残し、その後ラストライブまでレパートリーとなる曲。
ここに収録されたテイクは、テーマのみでアドリブはなし。
Cキーで弾き始めたテーマを一度A♭に転調。再びCに戻ってきてすっきり終わります。
クラシックの和声のように、内声も意識された高度なハーモナイズが素晴らしいと思います。