『Legrand Jazz』Michel Legrand

『ルグラン・ジャズ』ミシェル・ルグラン


『Legrand Jazz』Michel Legrand

収録曲

1.The Jitterbug Waltz
2.Stompin’ At The Savoy
3.Round Midnight
4.Django
5.Night In Tunisia
6.In A Mist
7.Blue And Sentimental
8.Don’t Get Around Much Anymore
9.Wild Man Blues
10.Nuages
11.Rosetta

※Bill Evansが参加しているのは1.3.4.9.の4曲のみ
1.3.4.9.
MILES DAVIS (tp)
Herbie Mann (fl)
Jerome Richardson (cl, bar)
Phil Woods (as)
John Coltrane (ts)
Betty Glamann (harp)
Eddie Costa (vib)
Bill Evans (p)
Barry Galbraith (g)
Paul Chambers (b)
Kenny Dennis (ds)

録音:1958年6月25日
レーベル:Philips

ディスクガイド

フランスの作曲家、Michel Legrandが豪華メンバーを集めたJAZZアルバム
Cannonball Adderleyを除く、当時のMilesバンドメンバーはまるごと参加しています。

オンリーワンの個性がぶつかり合う、忙しくて面白い演奏が集まっています。
例えば最初の「The Jitterbug Waltz」を聴いてみる。
トランペットが聴こえた瞬間まず「Milesだっ!」って思う。
しかし、その後”ジャズらしくはない”美しい定形フレーズのピアノが鳴った瞬間、Michel Legrandの世界に。
丁寧にアレンジされたブラスも聴こえてくると、古き良き時代の映画の情景が浮かんできます。
と思ったら、1:35くらいからアドリブパートに突入。そうすると、「あれ、これってMilesクインテットじゃないか」という錯覚が。
ここで一旦、Michel Legrandのことを完全に忘れる。
間にフルートソロは入るものの、Bill Evansにもソロが回ってきます。
Milesバンド時代のライブアルバムを聴くと、アップテンポのソロでは良い所が十分に出ていない感があるEvans。
短いソロだけれど、ここではかなり良い感じ!
あっという間にアドリブパートは終わり、冒頭の雰囲気に戻ります。
夢から覚めたように、というよりは再び夢の世界に戻るような空気。
通して聴いてみると、これは一体誰の音楽なんだ?という疑問。
あっという間に1曲が終わります。

Milesの十八番である「’Round Midnight」も、ガチガチにアレンジが固められて、映画音楽風。
これはこれでかっこいい。

Michel Legrandが音楽を担当した有名映画『シェルブールの雨傘』は1963年、『ロシュフォールの恋人たち』は1967年公開なので、時系列的にはこのアルバムより後になります。

初心者にオススメできる?

綺麗にアレンジされ、ハプニングもなく進行していく空気感は、モダンジャズとは似て非なるものですが、「ジャズにはあまり詳しくないけれど、60年代の映画音楽の雰囲気は好き!」という人には、入り口としてピッタリなのかも。

ちなみに、Michel Legrandが音楽を担当した映画『ロシュフォールの恋人たち』の中で使われた曲は、ジャズ・スタンダードとしてちょくちょく演奏されます。Bill Evansも後年演奏しています。