『コンセクレイション』ビル・エヴァンス

『Consecration I』Bill Evans
収録曲
『Consecration I』
- You And The Night And The Music
- Emily
- The Two Lonely People
- I Do It For Your Love
- Re:Person I Knew
- Polka Dots And Moonbeams
- Knit for Mary F
- Someday My Prince Will Come
『Consecration II』
- Tiffany
- My Foolish Heart
- Days Of Wine And Roses
- Your Story
- Turn Out The Stars
- Like Someone In Love
- My Romance
『Consecration III』
- Laurie
- Letter to Evan
- Mornin’ Glory
- Theme from M.A.S.H
- Up with the Lark
- Gary’s Theme
- Bill’s Hit Tune
- Knit for Mary F
Personnel
Bill Evans (p)
Marc Johnson (b)
Joe LaBarbera (ds)
録音:
1980年8月31日
1980年9月7日
レーベル:SOLID/TIMELESS
ディスクガイド
『Consecration』は、Bill Evansの最晩年の姿を捉えたライブ録音。会場はサンフランシスコの名クラブ、Keystone Korner。録音されたのは1980年8月末から9月7日までで、彼が亡くなるわずか1週間前の演奏が収められています。
最初は2枚組で登場し、その後には8枚組CDボックス『The Last Complete Collection』としてまとめられたこともありました(中古市場では数万円するちょっとレア盤)。最近では『Consecration I〜III』の3タイトルが単独発売されていて、比較的手に入れやすくなっています。上の曲一覧はその『Consecration I〜III』のものです。
この時期のBill Evansは健康状態が決して良くなく、体力的には限界に近かったと言われます。しかし演奏は驚くほどエネルギッシュで、むしろ創造力が再び花開いたかのよう。「死の直前に創造的再生を迎えていた」と評されていたいたことも。
もちろん、すべてが完璧にまとまった演奏とは言えません。即興の勢いに任せた部分や、ラフに感じられる瞬間もあります。それでも「最後の瞬間までピアノにすべてを捧げた」Bill Evansの強い意志が、音の一つひとつから響いてきます。タイトルの”Consecration”(=奉献・献身)そのものの演奏という印象です。
初心者にオススメできる?
スタンダード曲も多く含まれているので聴きやすい面はあります。ただし、やはり「Bill Evansのラスト・トリオの最晩年」という特殊な位置づけなので、最初の一枚には向きません。
『Sunday at the Village Vanguard』や『Waltz for Debby』など、60年代の黄金期を経てから手に取ると、このアルバムの重みや特別さがより響いてくると思います。
Pick up!!
『Consecration II』
3.Days Of Wine And Roses
Henry Mancini作曲の映画音楽。Bill Evansが取り上げるようになったのは70年代に入ってからだと思います。この最晩年でも頻繁に演奏されています。華やかさというよりは、渋く味わい深い解釈。
『Consecration II』
7.My Romance
1956年の初リーダー作『New Jazz Conceptions』から何度も演奏され続けたレパートリー。ここでも冒頭はソロでじっくり語り、途中から疾走感あるトリオへと展開します。最後の最後までこの曲を弾き続けたことに、彼の音楽観が集約されているようです。