『エムパシー』シェリー・マン / ビル・エヴァンス

『Empathy』Shelly Manne / Bill Evans
収録曲
- The Washington Twist
- Danny Boy
- Let’s Go Back To The Waltz
- With A Song In My Heart
- Goodbye
- I Believe In You
Personnel
Bill Evans (p)
Monty Budwig (b)
Shelly Manne (ds)
録音:1962年8月20日
レーベル:Verve
ディスクガイド
このアルバム『Empathy』は、Bill Evansが西海岸の名ドラマー、Shelly Manneと録音した双頭リーダー盤。ジャケット上の表記も “Shelly Manne / Bill Evans with Monty Budwig” となっていて、どちらが主役かというよりも「特別な顔合わせ」を売りにした1枚のようです。
制作のきっかけは、NYのヴィレッジ・ヴァンガードでBill EvansとShelly Manneが同じステージに立ったことだとか。その場でプロデューサーが「せっかくだから録音してみない?」と提案したことで実現したセッションだそう。ベースにはShelly Manneと共演していたMonty Budwigが加わり、いわば“急造トリオ”によるアルバムです。
そのためか、Bill Evansのレギュラートリオに比べると個性がやや薄まって感じられる部分もあります。ただし裏を返せば、普段のBill Evansでは聴けないアレンジや軽快なノリを楽しめる作品ともいえると思います。
初心者にオススメできる?
音楽自体はとてもオーソドックスで聴きやすいです。スウィンギーに弾むナンバーもあれば、しっとり美しいバラードもあるので耳馴染みは良いはず。ただし有名スタンダードが少ないのと、Bill Evansが本領発揮しているかと問われれば「もっとすごい盤があるよ」と言いたくなるのも事実。
なので最初の一枚には推しませんが、「Bill Evansの別の一面も知りたい!」という人には面白い選択肢になると思います。ちなみに同じShelly Manneとの共演作なら、1966年録音の『A Simple Matter of Conviction』の方がBill Evansらしさを堪能できると思います。
Pick up!!
2.Danny Boy
Bill Evansにとって重要なレパートリーのひとつ。わずか4ヶ月前にはソロで10分以上もかけてじっくり演奏した録音もある曲ですが、ここではあっさり4分弱。そして、ピアノだけで十分成立してしまっているアレンジで、ベースとドラムはほんの添え物のような印象といえなくもないのかも。
3.Let’s Go Back To The Waltz
タイトル通りワルツで始まりますが、1分42秒あたりから突然4ビートに切り替わり、一気にスウィンギーなソロが展開されます。この“仕掛け”がちょっとした聴きどころ。Shelly Manneの軽快なドラムとの掛け合いも気持ちよく、ジャムセッション感が味わえる一曲です。